パーソナルトレーニングコラム

部分痩せが不可能な理由をトレーナーが解説します

2022.09.12

今回は部分痩せが出来ない理由について解説したいと思います。

脚痩せやお腹痩せというのは女性にとって一生の課題とも言えます。

しかし結論から言うと部分痩せはできません。イメージするような動かした部分の体脂肪がどんどん落ちていくような運動などは無いからです。

ただ、長期的な視点で部分痩せが出来る可能性と、姿勢や体の使い方の改善で、ウエストや足を細くできるので、それについても解説したいと思います。

  1. 体脂肪は減る場所を選べない
  2. 血流増加と筋肉の刺激で部分痩せの可能性
  3. 姿勢や筋肉の使い方の改善で部分痩せは可能

 

体脂肪は減る場所を選べない

体脂肪はどこから減るかを選ぶことはできません。

良くあるのが腹筋をしてお腹の脂肪を落とすというイメージです。

これは間違いです。腹筋運動をしても腹筋が鍛えられるだけで脂肪が落ちることはありません。

体脂肪が燃えるというのは、まず蓄えられた中性脂肪が運動などにより交感神経が働くことで、リパーゼという酵素が活性化され、遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。

分解された遊離脂肪酸は全身に運ばれ、運動でのエネルギーとして遊離脂肪酸が使われます。

つまり、脂肪酸の分解は全身に働く為、動かしている部分の体脂肪がエネルギーになるわけではないのがわかります。

残念ながら部分痩せは体脂肪燃焼のメカニズム上困難と言えます。

 

部分痩せの可能性

それでも部分痩せについては2つほど可能性があります。

それは血流の増加とインターロイキン6による部分痩せです。

 

血流の増加で部分痩せ

血流の増加については、体脂肪燃焼のメカニズムでも開設した通り、脂肪を分解させるアドレナリンなどのホルモンは血液を通って全身に作用します。

つまり血流の良い部分と悪い部分で差が出来る可能性があります。

実際にあまり動かさない脇腹や二の腕などに体脂肪が付いてしまい、血流の多い前腕などは体脂肪が少ないという傾向にあります。

どのようなことを行うと血流が増加するのかというと、筋トレです。筋トレで筋肉を使うと血流が増加します。また、毛細血管の発達も促進されます。

効果的なトレーニングは15回以上のハイレップストレーニングです。筋肉をねちねちと刺激するようなトレーニングが血流増加には向いています。

 

インターロイキン6で部分痩せ

インターロイキン6についても似たようなことですが、筋トレなどで筋肉を使うと、インターロイキン6というマイオカインと呼ばれるホルモンが筋肉から周辺に分泌され、脂肪の分解を促進します。

この作用は局所的なので、トレーニングをした部位に脂肪が付きにくいことと関連している可能性があります。

実験でも、上半身のトレーニング後に30分のサイクリングを行うトレーニングを8週間行った結果、上半身と下半身の体脂肪の減少を比べると上半身の方が落ちていて、逆にすると減り方も逆転していました。

どうしても部分的に落としたいという場合は、全身のトレーニングを行うのではなく、目的の部位のトレーニング+有酸素運動という組み合わせを行うのもありかと思います。

参照:部分痩せについての研究

 

姿勢改善で部分痩せ

部分痩せは難しく、可能性はあるという程度の話ですが、確実に見た目を変えるという点では姿勢や筋肉の使い方の改善がおすすめです。

突き詰めると長くなる話題なので、概要に留めますが、例えばお腹が出てしまっているというケースの多くはお腹を突き出すような姿勢だったり、骨盤が後ろに倒れてしまっている状態です。

しっかりとお腹を締めて、骨盤の傾きも正しい状態にしましょう。

 

図を見ると一目瞭然ですね。正しい背骨のS字カーブがある状態ではお腹があまり出ません。それに対して猫背や反り腰ではかなりお腹が出ているように見えます。

これは同じ体脂肪量でもお腹に脂肪が付いているように見えてしまうということです。

対策としてはプランクなどの腹横筋を鍛えるトレーニングはどのタイプにも有効な方法です。コルセット状の筋肉が天然のコルセットとしてお腹を引き締め姿勢の改善に役立ってくれます。

それ以外では猫背か反り腰かで対処法が変わるので、ここでは割愛します。ただ、姿勢に関しては日常的な癖の強さが大きく影響するので、座っている時や立っている時に崩れていないか意識するだけでもだいぶ変わるかと思います。

 

O脚などの改善で部分痩せ

また脚のO脚なども太く見える原因になります。

画像の通り、正常な脚とO脚の脚では正面から見た時のシルエットはだいぶかわります。

O脚などは太く見えるだけでなく、太ももが内旋してしまうことでお尻が緩み、たるんでしまいやすくなります。

この辺りは立ち方、歩き方、お尻の筋肉の使い方などで変わる部分です。

女性はスクワットしても脚が太くなることなんてないというトレーナーも居ますが、やはり太くなりますし、特に脚のバランスが崩れている場合、上手く股関節が使えない、足首が固いなどの問題も含めて太くなりやすいです。

脚の部分痩せについても、体脂肪を減らすこと以上に重要で影響の大きい部分になります。

こちらも解説すると脚だけでかなりの量があるので、細かい取り組みについては別動画で紹介します。

 

 

エステなどの部分痩せはどうなのか

エステなどにも部分痩せを謳うところは多いのですが、結局のところマッサージで血行を良くしたり、EMSで筋肉を何度も収縮させたりということを行っているだけです。

マッサージでは水分も移動しますし、店舗によってはラップを巻いて大量に汗をかかせてサイズダウンを狙ったりします。

むくみなどを取ることでサイズは減りますが、やはり一時的な効果にとどまってしまいます。

トレーニングによる部分痩せも長期的な取り組みでようやく少し効果が見えてくるというレベルなので、長期的に部分痩せのエステに通い続けるつもりならいいのですが、そうでないのなら姿勢の改善などを考えるのが良いのではと思います。

 

 

部分的に筋肉を付けることはできる

部分痩せは難しいのですが、部分的に筋肉を増やすことは可能です。

というのも、筋肉に関してはそもそも使った部分の筋肉が発達するという特徴があります。

例えばお尻の筋肉を増やすことで、ウエストをくびれて見えるようにしたり、脚を細く見せる効果はあります。

肩や背中を付けることで小顔に見せたりウエストをくびれて見えるようにというのも同様です。

バランスの取れたボディライン、メリハリのあるボディラインを作るには、まず余分な全身の体脂肪は減らしつつ、付けるべき部分に筋肉を付けてメリハリを出すというのがベターかと思います。

 

 

部分痩せまとめ

まとめると、部分痩せは正直なところ難しいです。これは部分痩せについて少し調べて貰えばできないという専門家の見解が多いことでも確認できるかと思います。

出来ると言っているのはエステくらいですね。

出来ない理由は分解する体脂肪を選べないからです。

ただ、良く動かす部分の体脂肪が落ちやすい可能性はあるので、落としたい部分のトレーニングを多く行うのはありでしょう。その際、落としたくない部位を休むなどすると部分痩せの効果はたかまります。

それよりは姿勢や足のアライメントの改善に取り組んだ方が何倍も効果はあります。

https://youtu.be/t-ymTYY_e_M

YouTube動画にもまとめたので、こちらも是非ご視聴下さい。

部分痩せに対する正しい認識につながれば幸いです。