有酸素運動は痩せない?筋トレとの違いをプロトレーナーが解説
MIYAZAKI GYMの宮崎です。
ダイエットと言えば有酸素運動というイメージもあるのですが、意外とプロのトレーナー業界で有酸素運動を勧める人は少なかったりします。
自分はケースバイケースという感じなので完全否定というわけではないものの、優先順位は比較的後の方になっています。
有酸素運動とダイエットについて、本当のところを解説します。
そもそも有酸素運動とは
有酸素運動はジョギングや水泳などを思い浮かべると思いますが、特に運動の種類というよりは運動強度による分類です。
要は時間をかけながら、軽めから中くらいの負荷で運動を行うことです。
短時間で大きな力を発揮する筋トレなどは主に糖質をエネルギー源として利用しますが、時間をかけて行う有酸素運動では、より多くのエネルギーを取り出すことができる脂質もエネルギーとして使います。
なので、有酸素運動は行っただけ体脂肪を燃焼させられます。これが有酸素運動がダイエットに効果的だと思われる理由です。
有酸素運動はなぜ痩せないのか
有酸素運動が痩せない理由1.筋肉量を減らしてしまう
有酸素運動が痩せない理由として、まずは筋肉量を減らしてしまうことが挙げられます。
筋肉1㎏増えると約50キロカロリー/日の消費カロリーが増えると言われています。筋肉はそれだけ多く維持しておいた方がダイエットには効果的です。
しかし、エネルギーを多く消費する有酸素運動を行うと、足りないエネルギーを生み出すために筋肉を分解してしまいます。
エネルギー不足の場合にこういった反応は起こりやすいです。
また、有酸素運動を行うと疲れるので、筋トレと併用している人も、筋トレの効果が落ちてしまうということはよくあります。
有酸素運動が痩せない理由2.筋肉を増やす効果はない
運動をすると筋肉が増えると思う方もいますが、有酸素運動くらいの負荷では筋肉を増やす効果はありません。
普段から運動不足の方でしたら、ある程度下半身を中心に付くとは思いますが。
どれだけ走っても、マラソンランナーが細身であるように、筋肉を増やす効果はありません。
代謝を上げて体脂肪を燃えやすくする体質にするためには、筋肉を増やす効果のある筋トレを行う必要があります。
有酸素運動が痩せない理由3.省エネ体質になっていく
速筋と遅筋の場合、速筋の方がUCP3という熱を発生させるたんぱくが多い為、消費カロリーがおおくなります。
そして、有酸素運動のような持久的な運動を続けていると、速筋はだんだんと遅筋に変化していきます。
つまりUCP3が減り、熱が減る=消費カロリーが減るということになります。
持久的な運動は効率よく体を動かしていくのに必要なので、無駄な熱が発生しないようになっているんでしょうね。
つまり、有酸素運動をすると体脂肪を落とすことはできるものの、痩せにくい省エネな体質に変化していくということになります。
筋トレは逆に代謝を上げる
逆に筋トレはエネルギーを消費しやすくなります。
速筋はUCP3が多く消費カロリーが多いと言いましたが、速筋にもタイプがあり、速筋の中の速筋であるタイプⅡxはそもそもミトコンドリアが少ないため消費は少なく、消費カロリーの多いのはタイプⅡaと言われる筋肉です。
筋トレを続けていると、タイプⅡxはタイプⅡaに変化していくので、消費が増えるようです。
ダイエットに有酸素運動を取り入れる場合
有酸素運動を取り入れた方がいい場合1.消費カロリーが少なすぎる場合
消費カロリーが少なすぎる場合、有酸素運動を取り入れるくらいじゃないと痩せないというのがダイエット指導の現場からの意見です。
普通の活動量のある人や、定期的に筋トレの習慣があり筋肉量も多い人に関しては、食事の制限と筋トレでもすれば体脂肪も落とせるのですが、デスクワーク中心の方などは食事を減らす程度では落ちません。多少の筋トレを行ったくらいでも落ちません。
1日5000歩以下は有酸素運動も推奨したい
目安としては1日5000歩も歩かない人でしょうか。このレベルの人は毎日30分ランニングするくらいの運動を行うことで体脂肪が落ちやすくなります。
全く落ちないわけでもないのですが、1カ月に1キロ落ちるかどうかという成果だと、目標達成する前に辞めてしまうことが多いです。
ある程度数字の変化が目に見える状態になることで、より高いモチベーションも維持できるので、トレーナーとしてはウォーキングからでも取り組むのを推奨します。
1日中家で仕事している方などは、毎日30~60分くらい有酸素運動を行ってもいいと思います。
毎日30分程度の運動が健康に効果があるともされており、ダイエット目的ならもう少しだけ多くてもいいかなと思います。
参考:「医学雑誌ランセット」https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)31634-3/fulltext?elsca1=tlpr
有酸素運動を取り入れた方がいい場合2.急いでダイエットしたい場合
酸素運動をやりすぎてしまうと、痩せにくい体質になってしまったり、筋肉が落ちてしまうというデメリットがあるのですが、体重を落とすメリットがデメリットを上回るようならやるべきだと思います。
例えば何か体重別の試合などで間に合わせなければいけない。
または結婚式や友達と海に行く予定までにできるだけ痩せたい。
そんな期限が決まっていたり、期限までにできるだけ痩せたいというような場合には、後で太りやすくなるかもしれないからとかは言っていられません。
急いで行うダイエットは2倍くらいのスピード
普通のダイエットの場合、1カ月5%以内が健康的に痩せられる範囲と言われています。80㎏なら4キロですね。
急いで行うダイエットとなると、毎日1時間以上の有酸素運動を行うとすると、1カ月10%くらいの減少は狙えます。
有酸素運動で1日500~1000キロカロリー消費するからですね。
健康的ではないのですが、食事も減らして有酸素運動も行うと、筋肉も減るので1カ月10%を超えるようなダイエットも可能になるわけです。
しかしこれは最初に書いたように、筋肉を減らすことで代謝も落ちるばかりではなく、筋肉が減ることで健康面への悪影響や、見た目も張りがなくなりやすくなるため基本的には勧められません。
普段からある程度筋肉も増やしていて、何らかの理由により急激に体重を落とさなきゃいけない場合でない限り、このようなペースで行う必要はないでしょう。
有酸素運動を取り入れた方がいい場合3.食事制限したくない場合
ダイエットしたいけど食事は制限したくないという方は結構多くいらっしゃいます。
食事制限なしのダイエットというのも難しいのですが、その場合は食べただけ動くという方法で対応することも可能です。
食生活は習慣ですので、運動を増やしたからと言って今よりも大きく増えるということもあまりありません。
むしろ運動を頑張っているから食べるのは我慢しようというケースも多いです。
おすすめは少しきつめの有酸素運動
軽すぎるウォーキング30分くらいだと、頑張ったから食べてもOKみたいな意識が働いて、かえって太るようなこともあり得ます。
なので、ジョギングやボクササイズ、水泳など少しきつめの有酸素運動を行ってカロリーを消費するのがおすすめです。
きつめの有酸素運動の場合、やった後に食欲が低下する効果もあります。交感神経が優位に働くからですね。
その為、夕飯前や朝食前などに行うことで、空腹時の体脂肪減少も狙えるばかりか、そのあとの食事を増やし過ぎない効果も期待できます。
なので可能ならきつめの有酸素運動を勧めるように指導しています。
結局有酸素運動は痩せないのか
有酸素運動はやった分だけ体脂肪は落ちますが、痩せにくい体質になるのがデメリットです。
長期的に太りにくい体型を作り、維持していきたいのであれば、やりすぎないようにしましょう。
しかし、急に落としたい理由などがあれば仕方ないので、その時は短期的に取り組むなら大丈夫です。
基本はは筋トレと食事制限でダイエットに取り組むのがベターな選択肢になります。